NHK、新しい蛍光体を用いた白色LED照明器具を開発
NHKは、4月25日、「目に優しい」クルムス(Cl_MS)蛍光体(※1)を用いた白色LED照明器具を小糸製作所と共同で開発したことを発表した。
現在同局では、省エネルギー光源としてテレビ番組の制作現場における白色LED照明器具の導入を進めているが、一部の出演者からは「光源が視界に入るとまぶしく感じる」という声が挙がっているとのこと。クルムス蛍光体を用いた白色LEDは、従来の白色LEDと比べてフラットな分光スペクトル特性(※2)に特徴があり、また発光面積を大きく設計できるため、出演者が光源を直視した際のまぶしさを低減することが可能となっている。
今回、スタジオでキャスターを照らす「キャスターライト」と、ロケや中継で使用する「ソフトライト」の2種類の照明器具を試作し、従来型の白色LED照明器具との比較評価を実施したところ、約9割の人から「試作品はまぶしくない」との回答を得ることができたとのこと。
また、演色性(※3)にも優れており、5月25日(日)放送予定のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』(第21話・官兵衛幽閉シーン)の収録でも使用され、今後、さらに番組での試用などを重ね、番組制作用照明器具としての最適化を図っていく予定とのこと。
- ※1 紫色光を吸収し、黄色に発光する蛍光体。平成24年に小糸製作所、東京工業大学、名古屋大学が開発
- ※2 光の波長ごとの強度分布。従来の白色LEDは青色成分に強いピークを示すものが多い
- ※3 物体を照射したときの色の再現性。太陽光を基準とする評価方法が一般的