「ナックプライベートショー2014 シアターエクスペリエンス」開催
2014年6月24、25日と2日間にわたり、ナックイメージテクノロジー主宰で、ARRI、codex製品に関するイベント「ナックプライベートショー2014 シアターエクスペリエンス」が開催された。会場は秋葉原UDXのUDXシアター。デジタルシネマプロジェクター&サーバー(DCP)を採用している同シアターを使うことで、実際のARRI製品、codex製品ならではの画質を実運用レベルで体験してもらう、というコンセプトだ。
■本格的セミナーを開催
そうしたシアターを利用したメインプログラムとして、A〜Eの5つのセミナーが開催された。朝9時40分から夕方4時半までの本格的なものであり、それぞれ、DCP対応シアターならではの実作品を活かしたセミナー内容であった。
プログラムAが「AMIRAとNAB2014で発表されたARRIの新製品紹介」としてARRIプロダクトマネージャー トルステン・メイワルド氏、そしてARRI ASIA セールスマネージャー カルロス・チュー氏によるARRI製品紹介であり、なかでも日本発上陸の製品版のドキュメンタリー向けハイスピードカメラ「AMIRA」と、デジタル対応の歪みの無いアナモルフィックレンズ群の紹介が大いに会場の興味を誘っていた。
プログラムBは「VAULTとNAB2014で発表された コーデックスの新製品紹介」としてcodexのマーク・ダンドー社長による講演(初日は同社ディベロップメントマネージャー レイナー・ハーチャー氏がダンドー氏に代わって講演)、codex製品ならではのRAW収録と、画質の高さをわかりやすく紹介していた。
プログラムCでは「映画・テレビドラマ撮影におけるALEXAの表現力」として撮影監督 山本英夫(J.S.C.)氏による実際の映像を交えてのARRI製品による作品づくりに関する講演を行い、参加者に最も近い目線ということもあって、大きな盛り上がりを見せていた。なかでも「清洲会議」は冬に夏の時代劇を撮影したという、合成を多用した作品ということもあり、ARRI ALEXAならではの合成しやすさに着目した講演が注目を集めていた。
プログラムDが「TBSドラマ制作の現状と デジタルシネマカメラの運用」と題しTBSテックス テクニカルプロデューサー淺野太郎氏によるTV番組制作面からの運用を紹介。
そして最後のプログラムEが「ARRIの考える高画質映像とは何か」と題したARRI社長、フランツ・クラウス氏による2Kと4Kの比較を中心とした本格的な技術セミナーであった。
なかでも、フランツ・クラウス氏のセミナーは、ARRIが2K陣営の最右翼ともいわれているだけに、果たして2K映像がどこまで4K映像に画質的に対抗しうるかを実際の映像を見せながら解説したもので、画素数よりもダイナミックレンジを大切にするARRI社の姿勢が鮮明に打ち出された非常に興味深いものであった。
■同時開催の機材展も見逃せない
本セミナーは一社開催のプライベートショーながらも本格的で、なんと、機材展示も行われていた。なかでも注目されたのが、日本発上陸の製品版ARRI AMIRAと、ARRI製の新型アナモルフィックレンズ群であった。
ARRI AMIRAは、それまでの同社製デジタル機ALEXAとは一線を画すカメラで、オールインワンパッケージにハイスピード撮影まで備えた本格的なドキュメンタリーカメラとなっている。去年のIBC2013で初お目見えした同機だが、IBCの時点とは大きく性質を変え、安価なラインを狙うカメラではなくなり、シネ用途にも充分に耐える高級カメラとして完成した。なかでも特徴的なのは、ライセンスによる機能解除システムで、これにより、それぞれの現場事に必要な機能によって同じ機体ながらもコストを切り分けられることとなった。
ARRIの誇るARRI/ZEISSシネマレンズもリリースされた。この7月にリリースされる新しいマスターアナモルフィックレンズ群は、35mm、50mm、そして75mmが「ミニシネマレンズセット」として販売される予定。
特にアナモルフィックレンズは、その、横方向に圧縮して撮影し、再生時に横方向に伸ばすという性質上どうしても歪みが出てしまうため、デジタル時代のいまは精度がモロに結果に出てしまう。そのため、デジタルカメラにマッチしたアナモルフィック製品がほとんどなかったのだが、ARRI/ZEIS両社は、この共同開発で精度を格段に高くし、歪曲収差やフレアをほぼゼロとすることでデジタルシネマカメラに初めて対応した。また、ARRIの高性能な色温度可変型照明や、RIGなども展示され、大いに同プライベートショーは盛り上がった。
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今回、こうしたARRI/codexとナックイメージテクノロジーとの連携したイベントを経験することで、これからも映画産業や、テレビドラマにわくわくするような新型機材を提供してくれることだろう、ということが感じられたのであった。