KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8〜マイクロフォーサーズマウントの広画角単焦点レンズ


 KOWA(興和光学)から、PROMINARブランドでマイクロフォーサーズ専用設計の広画角単焦点レンズが発売されている。

 KOWAは以前から望遠レンズや双眼鏡など、高品質な光学機器を販売しており、バードウォッチャーのマストアイテムとして孤高の存在であった。これまでは広角/標準域のレンズには手を出さず、その独自のスタンスを維持していたわけだが、ここにきてマイクロフォーサーズユーザーにはたまらない製品を打ち出してきたのだ。

 現在アナウンスされているのは下記の3本。

・KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
・KOWA PROMINAR 12mm F1.8
・KOWA PROMINAR 25mm F1.8

 このうち、KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8は9月から発売されており、試用する機会をいただけたのでご紹介したい。

KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8。カラーは今回借用したブラックのほか、シルバーとグリーンも用意されている。価格は¥11万6000(税別)

 マイクロフォーサーズは、レンズ焦点距離が35mm換算で2倍となるので、どうしても広角が苦手である。これまで、パナソニックのLUMIX G VARIO 7-14mm/F4.0 ASPHが鉄板であったが、F4.0ということもあり、もっと明るいレンズが欲しい、と思っているユーザーは多かったと思う。

 そのマイクロフォーサーズユーザーの根源的欲求にズバンとど真ん中ストレートを決めてきたのがKOWA PROMINAR 8.5mm F2.8である。

KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

今回はパナソニックのLUMIX GH4を組み合わせて試用した。マイクロフォーサーズはレンズ焦点距離が35mm換算で2倍となるので、どうしても広角が苦手となるが、KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8は、非常に使いやすい画角のワイドレンズだ

 リリースには、「対角106°の画角にもかかわらずディストーション値が0.12%とリアルでスケールの大きい映像表現を実現します」とある。この一文で、実際の試し撮りが楽しみになった。

ムービーとスチルどちらでも使いやすい配慮

 実撮影の前に外観から見ていこう。ただし、今回借用したレンズはサンプル機であり、実際の製品版とは外観やデザインに異なる部分があることを御了承いただきたい。

 外装は金属製で重厚感がある。実際手にしてみるとズッシリとしていて、所有した者の満足感を満たすモノとしての存在感、引力がある。まずはこの時点で、ハートを捕まれてしまうだろう。フィルター径はφ86mmで、樹脂製のレンズフードに取り付ける。

 フォーカスリングは粘りがあり、繊細なフォーカスワークができそうだ。また、手でのフォーカスワークにフィットするくぼみとフォローフォーカスに引っかけられるギア部分を巧みに配置してあり、ムービーでもスチルでもどちらでも使いやすい配慮がある。

KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

フォーカスリング、アイリスリング共に適度な粘りがあり、繊細な操作が可能。アイリスリングはクリックありとクリックなしの両方のモードで使用できる

 アイリスリングは、クリックありとクリックなしの両方のモードを使えるようにできている。

 アイリスリングに着いている2つの突起部分を人差し指と親指で押しながら、絞りを最小方向または最大方向に回していってドン突きまでいくと、軽いクリック感の後にさらに回っていく。半周回しきると再度クリック感があり、モード交換が完了する。
 クリックなしのモードではT値表示になる。3、4、5.6、8、11、17という表示だ。

 このリングも適度の粘りがあり、じんわりと絞りの調整ができる。シネレンズ仕様になり、本格運用に適していると感じた。

KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

パナソニックLUMIX GH4に装着。見た目の本体とのバランスもいい。重量も軽すぎないので、安定して被写体を追えそうだ

非常に使いやすい対角106°画角のワイドレンズ

 せっかくの小型軽量マイクロフォーサーズシステム。レンズも高品質が見込まれるPROMINARの単焦点。気張らないスタイルで動画メインに撮影を行った。

KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

小さな世界が日常サイズに。ワイド単焦点レンズの面白さを堪能した。楽しくて夢中で撮影していると、無軌道な蝶や蜂を追いかけてフォーカスのコントロールを練習したことを思い出した

KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

猫をとっさに撮ったところ、フレアとゴーストが自然に入ってきた。直接光源をフレームに入れるまでは、充分に押さえられていると思う。フラッグで切ればまったく問題ないだろう

 

 

 建物の映像を見てみると、非常にゆがみが押さえられているのがわかる。自然なワイド感の焦点距離も手伝って、シフトレンズで撮影したかのような箱庭感を覚える。ディストーションの抑制は、とても優秀だといえるだろう。

 

 フォーカス送りによる画角の変化も試してみた。最短撮影距離から無限遠に至るまでの間に、画角の拡がりは見られるが、一般的な拡がりよりはむしろ軽微だと感じた。


 GH4の4Kモードはクロップファクターが×2.88なので、KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8を使用した場合、35mm換算で25mmほどの焦点距離になる。広角レンジでF2.8をもつこのレンズは、GH4での定番として用意しておきたいと思えた。今後、マイクロフォーサーズユーザー使いのマストアイテムとなるだろう。

問い合わせ先:興和光学 TEL 03-5614-9540
URLhttp://www.kowa-prominar.ne.jp/
   http://www.kowa-prominar.ne.jp/special/wide_lens/


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