Inter BEE 2014レポート〜パナソニックは、4K制作ソリューションとネットワークワークフローをアピール
パナソニックは、Inter BEE 2014において、「EMOTION & REVOLUTION – 新技術で拡がるパナソニック放送ソリューション – 」をコンセプトに出展。展示ホールのブースのほか、国際会議場にテクニカルスイートを設置して、さまざまな放送関連機器を展示した。
EMOTION〜4K制作ソリューション
出展コンセプトにある「EMOTION」としては、4K関連の新製品をアピール。10月に出荷が開始された「VARICAM 35」を初め、参考出展の「4Kマルチパーパスカメラ」や、堅牢設計の98型業務用4K液晶ディスプレー「TH-98LQ70」を展示。テクニカルスイートでは開発中の「スーパーハイビジョンP2レコーダー」も披露されていた。
VARICAM 35の展示では、同機の特長であるIn Camera Color Grading(イン カメラ カラー グレーディング)の機能とアライアンスパートナーとの連携による「VARICAM 4Kワークフロー」の訴求に重点が置かれており、展示ブースとテクニカルスイートの両方で詳細に解説が行われていた。
テクニカルスイートの「VARICAM 4Kワークフロー」コーナーでは、ColorfrontのOn-Set Live!を使用したIn Camera Color Grading機能のコントロールを披露。On-Set Live!がインストールされたPCとVARICAM 35を有線LANで直接接続したシステムで、グレーディング結果を反映しない映像(Non-Destructive)とグレーディング結果を反映させた映像(Baked-in)を、それそれ別のモニターに表示。On-Set Live!でVARICAM 35に内蔵されたカラーグレーディング機能(In Camera Color Grading機能)をコントロールし、Baked-inの映像を操作して見せた。
VARICAM 35は、メインレコーダーとサブレコーダーを搭載しており、それぞれ別のコーデックを選択できるデュアルコーデック記録に対応している。作成したLUTは、マスターの4K撮影データとは別ファイルでメインレコーダーに保存できるほか、サブレコーダーのほうにLUTを適用させたデイリーズのデータ(2K/HDもしくはプロキシ)として記録することも可能。マスター映像とデイリーズを同時記録することにより、ポストプロダクションの時間とコストの短縮を実現できる。
その4Kワークフローのポストプロダクション部分は、ColorfrontのTranskoderとNHKエンタープライズのnep infini(ネップアンフィニ)という2つのソフトウェアを組み合わせた4K制作支援システムで、データベース管理、データ変換、パイプライン管理、カラーグレーディングなどをデモした。
またVARICAM 35では、デュアルネイティブISOによる低照度下撮影の有効性をテクニカルスイートで披露。他社製カメラとの比較映像をデモした。このデュアルネイティブISOは、センサー内にISO800とISO5000用の独立したアナログ回路を搭載したもので、ゲインアップ時にISO5000の回路へ切り替えることで、低ノイズの映像を得ることができる。
■4Kマルチパーパスカメラ
国内では初披露となった4Kマルチパーパスカメラは、新開発の4K CMOSセンサーを搭載したボックスタイプの4Kライブカメラで、B4レンズマウントが採用されている。従来の放送用2/3型レンズが使用できるのだが、搭載の4Kセンサーは2/3型ではなく単板で大きめのサイズになっているそうだ。詳細は明らかになっていないが、カメラ内で光学変換を行うようである。
また、展示されていたサンプル機は、既存のHDマルチパーパスカメラと比較して若干大きめのサイズになっていたが、製品化にあたっては同等のサイズを目指してるという。そのほか、4K/2Kの同時出力が可能となっており、ボードの差し替えで、さまざまなフォーマットに対応することになるようだ。
REVOLUTION 〜ネットワークワークフロー
もう一方の出展コンセプトである「REVOLUTION」としては、AVC-ULTRAネットワークワークフローをアピール。デュアルコーデック記録とネットワーク接続に対応したカメラレコーダーやポータブルレコーダーを利用し、収録した動画を、そくざに本局へネットワーク伝送することで、オンエアーまでの業務を効率化するワークフローを提案した。
すでに、このネットワークワークフローを容易に実現する製品も数多く発売・発表されており、カメラレコーダーとしては、AJ-PX5000、AJ-PX800、AJ-PX270、ポータブルレコーダーとしては、Inter BEE開催直前に発表されたAJ-PG50が挙げられる。
これらの機種では、AVC-ULTRAコーデックファミリーのAVC-Proxyに対応し、また本データ収録をAVC-Intra/AVC-LongGで行いながら、低レートのAVC-Proxyを同時に収録できるデュアルコーデック記録にも対応している。
AVC-ULTRAネットワークワークフローの大きな特長は3点。多彩なネットワーク接続手段が選択できること、ストリーミングにも対応していること、そして自動アップロードが可能なことである。
ネットワーク接続は、有線LANのほか、無線ルーター、4G/LTEルーター、4G/LTE USBモデムを選択可能。ストリーミングは固定ビットレートの4モード(LOW/HQ/SHQ/AVC-G6)から選択でき、AVC-G6モードを選択すれば1920×1080/6Mbpaでのライブストリーム配信も可能となる。また、このストリーミング機能はQoS(Quality of Service)にも対応している。
自動アップロードは、撮影直後に収録データを自動でアップロードできる機能で、プロキシデータのみの転送もしくは収録データすべての転送のどちらかを選択できる。アップロード中も記録/再生が可能なバックグラウンドアップロードにも対応しており、これによって、カメラマンはアップロードの作業にわずらわされることなく、オペレーションに専念できる。
そのほか新製品としては、240fpsのハイスピードHD撮影が可能なVARICAM HSや放送用の大型ライブスイッチャーAV-HS7300シリーズをシステム展示したほか、テクニカルスイートでは、この12月から発売される予定の業務用ウェアラブルカメラAG-WN5を展示。
AG-WN5は、内蔵WiFiを利用してフルHD(1920×1080/60p)映像をワイヤレス伝送可能な業務用ウェアラブルカメラ。本体に挿入したmIcroSDカードへの記録とワイヤレス伝送を同時に実現する。
同機は、民生用のウェアラブルカメラHX-A500をベースに開発されており、HDMI出力とイヤホンジャックを追加。カメラ部と本体をつなぐケーブルも1mに延長されている。
また、同社製マルチビューアーソフトAG-NAMS5をインストールしたPCを使用して、AG-WN5を6台まで管理することができる(接続は12台まで可能)。音声は双方向になっており、任意の1台を選択してリアルタイムに通話もできる。