横浜関内・アダプターTry & Error・第2回
進化したAF対応のEFマウントアダプター
『キヤノンEFレンズ−ソニーEマウントアダプター』には、電子接点によってオートフォーカスが作動するタイプがあります。現在のモデルで3代目です(写真1、写真2)。
前回の記事のEFブリッジアダプターでは、電子接点が無いので開放でしか撮影できませんでした。このアダプターの登場でEFレンズが初めてボディからの制御で使えるようになったのです。写真3は、口径を広げてフルサイズのα7に対応したモデルです。
AF対応アダプターは、キャノンEFレンズにソニーEマウントカメラボディの信号を変換し相互通信を可能にしました。オートフォーカス、絞り、ISを電気的に連動させます。
以前から接点付きのマウントアダプターもありましたが、通信は一方通行でカメラボディに偽の情報を送りカメラを騙す仕様でした。AF対応マウントアダプターは、レンズとボディの双方向の通信を実現したため、絞り値などがカメラの表示で得られ、カメラの操作からレンズを作動させることができます。AモードやPモードなど自動露出も有効です。
アダプター内では機種の異なるプロトコルの翻訳をしているため、作動速度は決して早いものではありません。スチルの撮影ではAF照合速度で純正レンズに劣ります。しかしながら、動画撮影ではマニュアルフォーカスでピントを送るため、このアダプターも重宝されているようです。AFが作動するマウントアダプターですが、購入するお客様の大半は動画撮影の方です。職業人は使いこなしてくださってます。
mukソニー α7対応 EF-NEX AF駆動、絞り連動マウントアダプター(muk ai.EX1F RJ)
のイメージ動画
インターネット黎明期にマウントアダプターをつくっていたのは、東欧のメーカーでした。M42やPENTACON SIXなどを使っていたカメラマンは、レンズ資産を丈夫な日本製カメラで活かしたかったからだと聞いております。時を経てボディと連動したマウントアダプターは、まさに夢のアダプターといえましょう。
最新のEFレンズでは、電気が通っていないとマニュアルフォーカスさえ作動しないレンズもありますので大変有効なアダプターです(写真4)。最初のモデルは絞りの電子制御が作動するだけの機能でしたが、AFに対応したがために、照合スピードの競争に巻き込まれました。夢のアダプターは、夢が実現しただけに純正レンズのスピードに追いつくのは難しいでしょう。
E-マウントの業務機ソニーNEX-FS100やNEX-FS700では、どういう訳かオートフォーカスや自動露出でエラーになりますが、マニュアルで絞りが作動するので実用できます。写真5〜6はソニーFS-700とキヤノンEF16-35mm F2.8Lの組み合わせです。マニュアルモードで撮影できます。
ARRIバヨネット35用のレンズをフィルムで撮影するマウントアダプター
フィルムといっても映画ではなくスチルの話です。
Cマントアダプターの普及で、16mmシネマレンズをデジタルカメラで撮影するのがブームになりました。デジタルカメラで往年の銘レンズを楽しめるようになった反面、生産終了が相次ぐフィルムに危機感を覚え、いまのうちにとフィルム撮影に勤しむお客様も少なくありません。「ARRI 35mm用のレンズをフィルムで撮りたい」といった趣味人のご要望も、マウントアダプターの組み合わせでなんとかなります。
映画の35mmは、スチルではライカ判のハーフサイズです。レンズ交換式の一眼レフハーフカメラはオリンパスPEN-Fがあります。PEN-Fはフランジバックも短く、mukにはEFマウントのブリッジアダプターもあります(写真7)。
アダプターの組み合わせは、ARRIバヨネット-PLマウントアダプター(写真8)→PL-EFマウントアダプター(写真9)→EF-PenFブリッジアダプター(写真10)。
と3種類の組み合わせで、ARRI 35mm用のレンズがオリンパスPEN-Fに装着できます(写真11)。写真のレンズはSchneider-Kreuznach Arriflex-Cine-Xenon 50mmf2.0です(写真12)。
Pen-F側口径がギリギリなので(写真13)、ロック機構を外しましたが、ミラーにも当たることなく快適にフィルム撮影が楽しめます。アリフレックスを回すのに比べれば、こんな手軽な楽しみ方もありですね。
プチ改造 Aiニッコールを削る
広く撮れるレデューサー内蔵マウントアダプターは、中身が空洞ではありません。写真14のAiニッコール24mmf2.8は、後玉の周辺にレンズガードの突起があり、アダプター内のレデューサーレンズの枠にぶつかって装着できません(写真15)。
レンズガードの突起の根元はAisの情報伝達も兼ねています。切り取ってしまうわけにはいきませんが、少々削っても特に問題ありません(ご自分で行う際には、自己責任でお願いいたします)。後玉の枠は取り外せるので削るのは簡単です(写真16)。
このような事例は、EOSボディ用のマウントアダプターでは頻繁に起こりました。一眼レフ用のフランジバックの差が少なく、薄いマウントアダプターでは、カメラボディのミラーやミラーボックスなどの構造にぶつかる組み合わせも珍しくありません。マウントアダプターは、フランジバックの距離を合わせることができてもお互いの構造までは合わせられないのです。
ミラーレス機が登場しマウントアダプターは厚く深くなり、このようなマッチングの問題から開放されたと安堵していたら、レデューサー内蔵アダプターのおかげで悪夢の再来です。レデューサーレンズの位置も多少調整できるので、逃がせるレンズもあるでしょう。
調整や加工で装着できれば良いですが、これからは、それでも装着できないレンズも出てくることでしょう。ぶつかってしまうレンズの傾向としては、後玉の出ている広角レンズに注意が必要です。写真17のAiニッコール28mmf2.0もレンズガードが出っ張っているので、これから削ります。やれやれ。