キヤノン、ドライブユニット搭載のEFシネマレンズCN7×17 KAS Sを発表


 

 キヤノンは、EFシネマレンズの新製品としてCINE-SERVOレンズ(ドライブユニットを装着した大判センサー搭載カメラ対応レンズの総称)CN7×17 KAS S/E1(EFマウントモデル)および、CN7×17 KAS S/P1(PLマウントモデル)の発発売を発表した。

 同製品は、さまざまな大判センサー搭載カメラに対応する優れた光学性能と、ズーム比7倍のクラス最高倍率を備えたズームレンズとなっている。また、EFシネマレンズとしては初めてドライブユニットを搭載することにより、放送用レンズ同様の操作性と運用性を実現しているため、CMやドラマ、ドキュメンタリーなどの放送コンテンツ制作に適しているとともに、映画制作でも使用可能となっている。

■4Kカメラに対応した光学性能
 大口径非球面レンズの採用と、光学シミュレーション技術に基づく最適な光学配置により、球面収差やコマ収差などの諸収差を良好に補正し、広角から望遠までのズーム全域はもちろん、画面の中心部から周辺部にいたるまで4Kカメラに対応する解像力を維持した光学性能を実現しているほか、円形に近い開口形状を保つことの可能な11枚絞り羽根の採用により、柔らかく自然なボケ味も実現している。

 また、焦点距離17-120mm、ズーム比7倍の倍率を実現しているほか、4Kの解像度を維持したまま、広角端17mmから望遠端120mmまで幅広いズーム域での撮影が可能となっている。なお、スーパー35mm相当サイズのセンサーへの対応と7倍の高倍率を両立しながら、質量約2.9kgと小型・軽量化も図られている。

■EFシネマレンズ初、ドライブユニットを搭載
 同製品の大きな特徴の1つとして、EFシネマレンズとして初めてドライブユニットを搭載したことにより、放送用レンズ同様の操作性を実現したことが挙げられる。ドライブユニットの形状は、同社のHDTV放送用ズームレンズで定評のある人間の手の形状に合わせた自由曲面を採用。高いホールド感と安定的なレンズの固定が可能となっている。小型・軽量化がなされているのもあり、肩担ぎスタイルでの撮影にも対応する。

 撮影者の意思に瞬時に反応し、高速から低速まで、さまざまなスピードでズーム制御が可能なほか、レンズのズーム/フォーカス/絞りの位置検出を行い、電源が供給された際の初期化動作を不要にする高性能エンコーダーの採用により、システムの即時起動も可能である。

 また、ドライブユニットは20ピンコネクターを計3つ搭載しているため、同社のフォーカスリモートコントローラーFPD-4000やズームリモートコントローラーZSD-3000などを接続することも可能となっているほか、変換ケーブルを介してFDJ-P01を接続することでフォーカスもしくはアイリスを操作できるため、バーチャル用としても用いることができる。

■映画制作にも対応
 ドライブユニットは、着脱が可能となっているため、取り外して映画などの映像制作に適したマニュアル操作形態への変更が可能となっている。高性能エンコーダーの採用により、フォーカス/ズーム/絞りの各ギアの位置合わせが、不要なため、各ギアを任意の回転位置に設定したまま、ドライブユニットをレンズへ装着することも可能。

 フォローフォーカスにも対応できるよう、ピッチが0.8mmと0.5mmの2つのギアをフォーカスリングに搭載し、映画制作業界で使用されている電動駆動系アクセサリーやマットボックスなどの多様なアクセサリーの装着も行える。また、フォーカスの指標を、撮影者から確認しやすい、レンズ外装の傾斜面に表示しているほか、フォーカスリング目盛りのft(フィート)表示とm(メートル)表示の併記や一目でわかる位置への焦点距離表示、左右両側への指標表示など、ワンマンオペレーションから複数人数での撮影まで、さまざまな撮影形態に適応する高い視認性を実現している。

■そのほかの機能
 放送用カメラの標準インターフェースである12ピンシリアル通信に対応しているため一般的な放送用レンズと同様、フォーカス/ズーム/絞りの位置データのカメラ本体などへの送信や、アイリスのリモート操作などが可能となっている。

 また、PLマウントモデルのCN7×17 KAS S/P1は、映画などの映像制作業界で広く使用されているCooke社の通信規格「/i Technology」に対応。フォーカス/ズーム/絞りの位置データや、レンズの型名などのレンズ情報がカメラ本体などで表示・記録可能となっている。

 EFマウントモデルのCN7×17 KAS S/E1では、同社のCINEMA EOS SYSTEMのカメラと組み合わせた際に、電気接点を通じた通信機能により、ズーム位置などを映像とともに記録できるため、映像編集時などに撮影条件の効率的な管理が行える。また、カメラ側のファームアップにより、周辺光量補正なども可能になる予定とのこと。

  • ズーム倍率:7倍
  • 焦点距離:17-120mm
  • 最大口径比(Tナンバー):T2.95(17-91mm)、T3.9(120mm)
  • 絞り羽根枚数:11枚
  • 最至近撮影距離:0.85m/2.8’
  • 前玉径:直径 約114mm
  • 外形寸法:約幅174.2×高さ125.0×奥行262.9mm(CN7×17 KAS S/E1)、約幅幅174.2×高さ125.0×奥行254.9mm(CN7×17 KAS S/P1)
  • 質量:約2.9kg
  • 価格:¥340万(PL、EFマウントモデルともに/税別)
  • 発売:2014年8月下旬
  • 問い合わせ先:キヤノンお客様センター TEL 050-555-90006
  • URLcanon.jp/cinema-eos

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