ソニー、2014 NAB Showにおける同社の出展概要を発表


 

 ソニーは、4月7〜10日(現地時間)に、米国ラスベガスで開催される2014 NAB Showにおける同社の出展概要を発表した。同社は同展示会において、『Beyond Definition』をテーマに、「4K」、「IPライブプロダクション」、「ワークフロー」、「アーカイブ」、「ビジュアルエンターテインメント」の5つを軸に、幅広いソリューションの展示を行う。

4K for 4K (4K映像制作)

■F65を使用した4Kライブカメラシステム(新製品)
 同社のCineAlta 4KカメラF65で、ライブ制作を可能にする4Kライブカメラシステムの発売が発表された。同システムは新開発のF65専用アダプター「SKC-4065」、カメラシステムアダプター「CA-4000」、ベースバンドプロセッサー「BPU-4000」で構成される。

 このシステムにHD/4KライブサーバーとしてマルチポートAVストレージユニット「PWS-4400」を組み合わせることで、4K解像度で120fpsのハイフレームレート撮影・収録が可能となる。動きの速いスポーツにおいて、選手の動きをなめらかなスローモーションシーンで再現するなど、効果的な映像表現を実現することが可能となっている。

■4K動画出力対応、レンズ交換式デジタル一眼カメラα7S(新製品)
 α7シリーズの新製品となる「α7S」は、新開発の有効約1220万画素35mmフルサイズExmor CMOSイメージセンサーを搭載し、新世代BIONZ Xとの組み合わせにより、常用ISO100〜102400、拡張50〜409600(動画撮影時は、常用ISO200〜102400、拡張200〜409600)の高感度・低ノイズ撮影を可能にしたレンズ交換式カメラ。高感度に加え、全感度域でワイドなダイナミックレンジに対応。また、フルサイズセンサーとして初めて画素加算のない全画素読出しに対応し、4K(QFHD:3840×2160)出力することにより(24p/30p)外部レコーダーで4K映像を記録することができる。

 120fps/720のハイスピード撮影、S-Log2、50Mbpsの高ビットレートに対応したXAVC Sフォーマットを採用した本体でのフルHD高画質記録や、XLR Audio入力(オプション使用時)など、充実した動画機能を小型ボディに搭載しており、業務映像制作用途にも使用することができる。また、α7シリーズで好評のファストインテリジェントAFやXGA OLED Tru-Finder、モバイル機器連携を可能にするWi-Fi/NFC、PlayMemories Camera Appsなど、各種機能も搭載している。

 このほか同展示会では、αマウントシステムのレンズとして新たに開発中である、動画撮影時の操作性を追求したフルサイズイメージセンサー対応の「Eマウント電動ズームレンズ」と、「XLRアダプターキット」のモックアップも参考展示される。

■30型業務用4K有機ELモニター(技術展示)
 機動性に優れた30型業務用4K有機ELモニターが技術展示される4096×2160ピクセルの高解像度と広色域を実現し、UHDの規格であるITU-R BT.2020の色域に迫る色再現性を実現しており、2014年度中の発売を目指して開発中とのこと。

■4K for HD(4Kを活用したHDソリューション)
 CineAlta 4KカメラPMW-F55、PMW-F5に取り付けることで、ショルダータイプのカムコーダーと同様のオペレーションを可能にするEFP-スタイルビルドアップキットを開発中とのこと。これによりドキュメンタリーやスポーツなどの撮影現場で、より機動性のある運用が可能となる。

 また、XAVC、SStP、XDCAM HDのフォーマットに加え、主要なノンリニアコーデックに対応したオプションボードも開発中で、2014年秋に発売が予定されている。

 4KライブサーバーシステムのコアであるマルチポートAVストレージユニットPWS-4400は、新たにPMW-F55 4Kライブカメラシステムで撮影した360fpsのHD映像の収録・スローモーション再生に対応する。

 このほか、ゴールシーンの一部をズームし、切り出してリプレイや、複数の4Kカメラでスポーツ競技のフィールド全体を撮影し、4Kスティッチングソフトウェア「PWA-4KS」により、ハイライトシーンを撮り逃すことなく、HD映像で切り出すなど、4K技術をHDでも有効に活用することを推進していくとのこと。

■4K for Beyond (4Kを超えた映像の提案)
 4K映像技術の応用として、F65でRAW記録を行い、そこから8K×2Kのパノラマ映像を生成し、4Kエッジブレンディング技術により4Kプロジェクター2台を使った、大スクリーンで再生するデモンストレーションが行われる。

IPライブプロダクション

 ライブ制作における映像伝送を効率化し、システムコスト低減につながるシステム「IPライブプロダクション」の技術展示を行われる。新開発の「AVオーバーIPインターフェース」技術は、既存の映像伝送規格であるSDIとIPネットワーク技術を融合させたもので、従来複数のケーブルで行っていた機器間の映像・音声・メタデータと同期信号、制御信号の伝送を、汎用ネットワークスイッチを用いてネットワークケーブル一本で実現する。

 「AVオーバーIPインターフェース」は、将来的に遠隔地の機器同士をネットワークで繋ぎ、双方向の伝送と遠隔操作を行う「リモート制作システム」に展開していき、現場に多くの機材と人員を派遣していた制作コストの大幅な削減を目指すとのこと。

 なお、「AVオーバーIPインターフェース」技術の自社製品での展開および、他社製品での採用を促進するため、映像制作機器メーカー各社へ向けてライセンスプログラムが予定されている(2014年夏から開始予定)。具体的には、「AVオーバーIPインターフェース」技術を搭載したソニー製LSIの提供、さらにプログラムの構成設定を変更できるFPGA(Field-programmable gate array)向けIPコアの製造許諾を供与していくとのこと(参考資料:http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201309/13-114/)。

ワークフロー

 同社は、XDCAM製品群へXAVCフォーマットを対応させることで、MPEG-4/H.264方式に対応した高解像度・高ビットレート制作、ハイフレームレートから低ビットレートの制作までカバーし、報道のみならず、番組やCM制作にもXDCAMの活用を促進していく。2014 NAB Showでは、XDCAM HDカムコーダー、XAVCに対応したXDCAMレコーダー、ワイヤレスアダプターを本体内に搭載したXDCAMハンディカムコーダーなど新商品群を展示する。

 このほか、ファイル化・ネットワーク化に伴いスピードが求められる取材現場に向けて、ネットワーク経由でプロキシファイルの転送やモバイル端末でのビューイングなどを実現する、カメラ用のワイヤレスアダプターも展示される。

プロフェッショナルディスクに対応 XDCAM HDカムコーダー、レコーダー(新製品)
 2/3型IT CCDを搭載し、S/Nの向上(62dB)など高画質化を実現したXDCAM HD 422カムコーダー「PDW-850」と、2/3型FIT CCDを搭載した「PDW-750」が発売される。また、3層(100Gバイト)・4層(128Gバイト)の大容量プロフェッショナルディスクに対応し、XAVC HD記録にも対応した(別売のXDBK-106が必要)レコーダー「PDW-HD1550」も併せて発売される。

ハンディタイプのXDCAMメモリーカムコーダーPXW-X180(新製品)
 1/3型 フルHD Exmor 3CMOSイメージセンサーと、新開発の広角26.0mm、光学25倍のGレンズを搭載したハンディタイプのXDCAMメモリーカムコーダー「PXW-X180」が発売される。放送局や映像プロダクションなどの映像制作の現場で広く採用されている記録フォーマットMPEG HD422(50Mbps)に対応しているほか、10ビットサンプリングの高精細な階調表現で高画質記録を可能にするXAVC記録にも新たに対応。さらにMPEG HD420、AVCHD、DVの各種記録フォーマットにも対応している。

アーカイブ

 蓄積した映像ファイルをアーカイブするニーズはますます高まるなか。同社は、映像コンテンツの増大や、4K制作における映像の大容量化を見据えて、2012年にオプティカルディスク・アーカイブシステムを発売し、ラインナップの強化を図ってきた。2014 NAB Showでは、新商品テープデジタイズサーバー「PWS-100TD1」を展示し、テープの映像資産の効率的なファイル化を提案する。

■テープデジタイズサーバーPWS-100TD1(新製品)
 「PWS-100TD1」は、オプティカルディスク・アーカイブと接続することで過去のテープベースの映像資産を効率的にアーカイブするシステム。同社独自の解析ソフトウェアにより、インジェストする素材VTRのエラーを常に監視し、リスト化することでエラー処理を効率的に行う。専門的な知識を必要としないシンプルな設定・運用でテープ資産をファイル化し、「オプティカルディスク・アーカイブ」との連携によりお客様の用途に合わせたアーカイブ管理を実現する。

 また、オプティカルディスク・アーカイブのフォーマットロードマップも開示され、業務用次世代光ディスク規格Archival Disc(アーカイバルディスク)の技術を活用し、第2世代ではカートリッジあたり3.6Tバイト、第3世代では6Tバイトの大容量化を図っていくとのこと。

ビジュアルエンターテインメント

■ビジョンプレゼンター(新製品)
 「ビジョンプレゼンター」は、HDの4倍以上の情報量を表示できる4Kディスプレイ技術を活用し、複数の映像素材を高画質で多彩なレイアウトで表示し、効果的なプレゼンテーションやディスカッションの活性化を実現するシステム。動画や静止画などの画像データ、スライド、ウェブサイト、ビデオ会議などの複数のソースを大画面に表示し、無線マウスやタブレットを用いて画面を確認しながら、直感的な操作でレイアウトの変更などがその場でできる。

 2014 NAB Showでは、放送局のスタジオを想定したデモンストレーションが行われる。


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