ソニー4K Super35mm CMOS搭載XDCAMメモリーカムコーダーPXW-FS7
ソニーは、9月12日、オランダ・アムステルダムで開催されたIBC 2014に合わせて、新しい4Kカメラ「PXW-FS7」を発表し、同展示会に出展した。
PXW-FS7は、4K Exmor Super35mmのCMOSイメージセンサー(有効画素数約880万画素)を搭載し、4K XAVCでの本体記録にも対応したレンズ交換式のXDCAMメモリーカムコーダーだ。レンズマウントにはEマウントが採用され、製品ラインナップとしては、NEX-FS700Rの上位機種に位置づけられる。ラインナップは、本体のみとなる「PXW-FS7」(¥98万/税別、10月23日発売)とレンズが付属する「PXW-FS7K」(¥128万/税別、12月発売)の2モデル。
ソニーはこれまで、CineAltaカメラである「F65」や「PMW-F55」により、4K映画やCM、ライブ制作まで、4K映像制作のフィールドを拡大してきたが、「PXW-FS7」を加えることで、ドキュメンタリー制作など、カメラワークに機動力を求められる現場にも、4K大判センサーによる制作機会を拡げたいとしている。
多様な撮影スタイルへフレキシブルに対応
PXW-FS7を一見して気になるのは、その特徴的なデザインだ。本機は、コンパクトなカメラボディに回転・伸縮などが可能なグリップ、グリップアーム、ビューファインダー機構を搭載した、まったく新しいエルゴノミックデザインを採用している。16mmフィルムカメラを彷彿とさせる外観は、撮影シーンに応じて変化する、肩乗せ・ハンディ・ローポジションなど、多様な撮影スタイルに、リグやケージなどのアクセサリーを用意しなくとも、本体のみでアレンジが可能となっている。
グリップは手に馴染んで握りやすく、角度調整も可能で、伸縮式のグリップアームと合わせて好みの位置と角度にセッティングできる。また、グリップ(およびトップハンドル)にはズームレバーが装備され、電動ズームに対応したEマウントレンズと組み合わせてズーミングが可能だ。そのほか、グリップには各機能・設定をできるアサイナブルダイアルやボタンも配置されているので、撮影姿勢を崩すことなくアイリスや感度の変更、拡大フォーカスなど、さまざまなな操作を行うことができる。
そのほか、本体の操作系や端子類は、ビデオカメラマンが違和感なく使用できるようにの配置されており、あらゆる撮影スタイルでワンマンオペレーションが可能な高い機動性を実現。スタジオ撮影などでマットボックスやレコーダーのような別装備が必要な際には、別売りオプションのライトウェイトロッドサポート「VCT-FS7」(¥12万/税別、11月発売)を使うことで、システムアップした撮影が可能。VCT-FS7は、φ15mmロッドの装着が可能となっており、また三脚アダプターVCT-14への着脱もスムーズに行うことができる。
4K/60p本体記録のほか、RAWにも対応
PXW-FS7は、撮像素子に総画素数1160万画素(4352×2662)のExmor Super35mm CMOSイメージセンサーを搭載し、基準ISO感度2000、トータル14stopというPMW-F55と同等のダイナミックレンジを実現している。
本体記録によって対応するフォーマットは、XAVC Intra Frame(4K/QFHD/HD)、XAVC Long GOP(QFHD/HD)、そしてMPEG HD422(HD)の3種類(XAVC Intra Frameの4K[4096×2160]記録については発売後のファームウェアアップデートで対応予定)。XAVC Long GOPへの対応で4Kの長時間記録にも対応できる。
記録メディアにはXQDカードを採用しており、2基のカードスロットにより、同時記録とリレー記録にも対応する(同時記録はHDフォーマットのみ)。PXW-FS7の発売に合わせて、最大容量が128Gバイトとなり、400Mbpsの読み出しと350Mbpsの書き込みを実現したXQDカードGシリーズも新たに発売される予定である(128Gバイト:¥9万2500/税別、10月24日発売)。
また、11月に発売予定となっている拡張ユニット「XDCA-FS7」(¥25万/税別、11月発売)を用いることで、ProRes記録に対応(2014年度第4四半期を予定)するほか、このXDCA-FS7に既発売のインターフェースユニット「HXR-IFR5」とRAWレコーダー「AXS-R5」を組み合わせることで、NEX-FS700Rと同様の、4K/2KのRAW記録を実現する。
XAVCおよびRAW選択時は、ハイフレームレート撮影も可能。XAVCのHD記録時では最大180fps(1〜180fps)の連続撮影が可能となるので、23.98fpsで収録・再生すれば最大7.5倍のスローモーション映像を得ることができる。また、2K RAW記録時は240/120fpsの連続撮影が可能。ちなみにXAVCの4K/QFHD記録時は60fps(1〜60fps)、4K RAW記録時では60fpsが最大となる。
なお、拡張ユニットのXDCA-FS7は、記録フォーマットの拡張だけでなく、装着することにより、Vマウントバッテリーが使用可能となり、タイムコード入出力、ゲンロック入力、REF出力、DC入出力の機能が拡張され、複数台撮影への対応なども行えるようになる。
動画撮影に最適化した新開発ズームレンズ
PXW-FS7は、前述のとおりレンズマウントにEマウントを採用しているが、αマウントシステムに対応しており、AマウントとEマウント合わせて55種類に上るαレンズ群を活用することができる。もちろん、短フランジバックというEマウントの特長を活かして、他社製アダプターを介することにより、さまざまな種類のレンズを装着することも可能である。
また、PXW-FS7Kには、ソニーの業務用レンズのノウハウを凝縮した世界初35mmフルサイズ対応のEマウント電動ズームレンズ「SELP28135G」(FE PZ 28-135mm F4 G OSS)が同梱されている。
レンズの光学設計には、フォーカス時の画角変動(ブリージング)やズーム時の軸ずれ/フォーカスずれを最小限に抑止するソニー独自のSMO(Smooth Motion Optics)機構を採用。ズーム、フォーカス、アイリスの各リングは独立して装備されており、フォーカスリングはマニュアル操作を前提とした広い回転角を確保している。
また、たびたび問題となるEマウントレンズのズームリングの回転方向(Eマウントレンズはビデオカメラ用レンズのテレ/ワイドの回転方向が逆になっている)については、メニュー選択により回転方向を選択できるようになっている。そのほかにもSSM(Super Sonic Motor)の採用による静穏で滑らかな電動ズーム、光学手ブレ補正、オートフォーカスなど、動画映像表現に最適な機能・操作性を実現している。
本レンズは、単体での発売も発表されており(¥30万/税別、12月下旬発売)、フルサイズセンサーに対応しているので、α7シリーズなどによる静止画や動画撮影においても利用することが可能となっている。
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ソニーは、10月8、9日の2日間、東京・銀座のソニービル 8F「OPUS」(東京都中央区銀座5-3-1)において、PXW-FS7のタッチ&トライイベント「FS7:First Contact」を開催する(無料、事前登録制:http://www.sony.jp/professional/event/info/pb20141008.html)。PXW-FS7はもちろん、PMW-F55、NEX-FS700R、α7Sなど、ソニーの大判センサーカメラが用意されるほか、セミナーやPXW-FS7で撮影された4Kコンテンツの上映も予定されている。
- 問い合わせ先:ソニービジネスソリューション・業務用商品相談窓口 TEL 0120-788-333
- URL:http://www.sony.jp/xdcam/