Inter BEE 2014レポート〜池上通信機は4K/8K放送に向けた最新ソリューションをアピール


 池上通信機は、Inter BEE 2014において、「Broadcast Innovation ― より豊かな映像表現をめざして ― 」をテーマに、スーパーハイビジョン(8K)スタジオカメラシステムSHV-8100を初めとした多彩なカメラ製品群のほか、4K対応のカメラシステムやルーター&スイッチャー、LCDモニターなどを出展。4K/8K放送に向けた最新のソリューションを提案した。

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4K/8K放送に向けたカメラシステムソリューション

 ブースの正面に設置されたカメラスタジオには、Inter BEE開催の直前に発表されたアフォーダブル3CMOS HDTVカメラシステム「HC-HD300」を初め、ARRIとのコラボレーションによって誕生したスーパー35mmフォーマットカメラシステム「HDK-97ARRI」など、同社Unicam HDシリーズのエントリー機からハイエンド機までを展示。

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HC-HD300は、放送用トップエンドカメラUnicamHD HDK seriesの信頼性、画質、品質を踏襲しながらもコストパフォーマンスに優れたシステムカメラ

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HDK-97ARRIは、スーパー35mm CMOSラージセンサーとPLマウントをUnicam HDに採用することで、放送の映像制作においてシネマテイストな表現を可能としたシステムカメラ

 このカメラスタジオでアピールされていたのは、Unicam HDシリーズによる4Kソリューションである。
 池上通信機では、Unicam HDのカメラシステムを構成するCCU(CCU-980)やベースステーション(BS-98)にオプションの4Kアップコンバーターモジュールを実装することで、フルHDプログレッシブ映像をコンバートし、3840×2160の4K出力に対応できることを提案。超解像技術により、4Kカメラに遜色のない解像感も実現しているという。

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カメラスタジオでは、HDK-970Aと4Kアップコンバーターモジュールを搭載したCCU-980の組み合わせによる、現状のUnicam HDカメラシステムを活用した4K映像出力をデモ

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CCU-980やBS-98にオプションの4Kアップコンバーターモジュールを実装することで、フルHDプログレッシブ映像をコンバートし、3840×2160の4K出力に対応する

 スポーツ中継のようなコンテンツ制作で、ラージセンサーを搭載したデジタルシネマカメラを利用する場合、その浅い被写界深度が問題になってしまうことも多い。今年に入ってからは、2/3型センサーとB4マウントを採用した4Kカメラも各社から発表されている。

 池上通信機の提案する4Kカメラソリューションは、現状の2K/HDのシステムに4Kアップコンバーターモジュールを追加するだけで4K映像出力が可能となり、最小限のコストで4K映像システムの構築を実現できる。

 対象となるカメラは、Unicam HDシリーズのHDK-970A/970AP、HDK-97A/97AP、HDK-97ARRI、HDK-790GX(1080/29.97psf時)、HDK-79GX(1080/29.97psf時)。

 カメラスタジオでは、HDK-970Aの4K映像出力がモニターに表示されていたほか、4Kアップコンバーターモジュールの紹介VTRとして、一般的な4Kカメラとの比較映像が上映されていた。

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4Kアップコンバーターモジュールの紹介VTRとして、一般的な4Kカメラとの比較映像を上映。超解像技術により、4Kカメラと比較しても遜色のない解像感を実現している

 スーパーハイビジョン(8K)スタジオカメラシステムSHV-8100に関しては、来場者が触れることのできない展示形式となっていたが、CCUとビデオプロセッサーを接続した運用形態で実機を披露。

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スーパーハイビジョン(8K)スタジオカメラシステムSHV-8100。すでに実用化されており、現行スタジオカメラと同様の運用を実現している

 同機は、NHKエンジニアリングシステムと共同開発されたもので、3300万画素2.5型の単板CMOSセンサー搭載Dual Green方式のスタジオカメラシステム。レンズマウントはPLに対応し、9型VFを備えている。
 CCUは、現行ハイビジョンと同じ光複合カメラケーブルの使用が可能。カメラリモコンも用意されており、現行スタジオカメラと同様の運用を実現している。

 そのほかの4Kソリューションとしては、4Kに対応し、広視野角、動画ぼやけを抑えた優れた応答速度が特徴の32型LCDモニター「HQLM-3210W」や4M/Eを連動することにより4Kにも対応するマルチプラットフォームスイッチャーシステム「MuPS-4000 series」を展示。

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4Kに対応した32型LCDモニターHQLM-3210W。3G-SDI×4による4K入力に対応し、BT-709、EBU、SMPTE-Cに加え、Adobe RGBも99%カバーする

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4Kにも対応するマルチプラットフォームスイッチャーシステムMuPS-4000 series。ブースでは4Kシステムと2Kシステムを切り替えてデモしていたほか、大小さまざまな規模でシステム構築が可能なことをアピール

 HQLM-3210Wは、モニター内部での2K→4Kにアップスケーリングを可能とし、SDI入力コンバーターを使用することにより、3G-SDI×4の4K入力に対応する。

高速マルチサンプリング型CMOSセンサーを採用した超高感度カメラ

 カメラスタジオの隣では、高速マルチサンプリング型の超高感度3CMOSセンサーを採用したHDTVカメラシステムHDK-5500とマルチパーパスHDTVカメラHDL-4500が展示されていた。蓄積機能搭載の3CCDによる感度アップが可能なフルデジタルマルチパーパスHDTVカメラHDL-45Eを加えた3機種で、暗室内の被写体を撮影した映像出力を比較するデモを披露。

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高速マルチサンプリング型の超高感度3CMOSセンサーを採用したHDK-5500とHDL-4500に、蓄積機能搭載の3CCDによる感度アップが可能なHDL-45Eを加えた機種の比較デモを展示

 新製品となるHDK-5500は、新開発高速マルチサンプリング型の超高感度2/3型低ノイズCMOSセンサーを採用し、最低被写体照度0.001 lx /F1.4を実現。60pでの高速読み出しを行っているため、夜間の月明かり程度の撮影でも照明を使用せずに、スムーズなフル動画のカラー映像を再現することができる。昼夜を問わず使用できるほか、蓄積型の感度アップとは異なり、動きの早い被写体でもブレがない映像で表現が可能。

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HDK-5500は日中や照明下でも使用できるので、Unicam HDポータブルカメラとして通常利用することもできる

 また、同機はUnicam HDポータブルカメラのため、カメラアダプターを装着したカメラ単体スタイルや各種延長装置と接続した中継スタイルでの運用が可能となっている。


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