Movcam BMPCCアクセサリーキット〜 BMPCC専用の堅牢なリグ


 Blackmagic Designからリリースされるシネマカメラは、その性能とコストパフォーマンスの高さから、デジタルシネマカメラの敷居を一気に下げてくれたことは嬉しいのだが、その特徴的なカメラボディのデザインは、従来のビデオカメラの常識から大きくかけ離れている。

 Blackmagic Cinema Cameraは「お弁当箱」の 異名をもつ。Blackmagic Pocket Cinema Cameraは、巷にあふれるコンパクトデジタルカメラにしか見えないが、SDメモリーカードにRAWでも収録することができる、立派なデジタルシネマカメラである。

 これらのカメラは、もちろん裸のままで使うこともできるが、映画撮影仕様としてリグやマットボックス、フォローフォーカス、大容量外部バッテリーなどの周辺アクセサリーを取り揃えると、なお使いやすくなる。

 撮影アクセサリーメーカー各社は、新型のカメラのリリースを追いかける ように、リグやケージを初め、さまざまな周辺アクセサリー機材を各種、製造販売していて、その市場は活気にあふれている。中国に本社を置く振興メーカーのMovcamも、その1つである。

 今回の「BMPCCアクセサリーキット(Blackmagic Pocket Cinema Camera用アクセサリーキット)」は、ケージ、ハンドル、ベースプレートなどの基本パーツから構成され、他にもロッド、フォローフォーカスなどのアクセサリーが豊富に揃えられている。

シンプル構造で堅牢なつくり、使い勝手も損なわない

 キットの内容は、木製グリップ付きケージ、トップハンドル、ライザーブロック(ケージとベースプレートの間に挟む高さ調節のブロック)、 ベースプレート、レンズマウントサポート、となっている。オプションとして、 ベースプレートに取り付ける15mmロッド(2本組み)、フォローフォーカス、マットボックスなども用意されている。

 ケージとカメラ本体を上下からねじ止めするほかは、いずれのパーツもノブを緩めて装着、締め付けるだけのシンプルな構造で、セッティングに時間はかからない。加えて、とても堅牢につくられていて、精度も良く、ガタつきなどはない。Blackmagic Designのカメラ本体の三脚用ネジ穴は強度的に不安があるが、このケージに組み込むことで、それを払拭することができる。

 ケージとハンドルには複数の穴が開けられていて、1/4または3/8インチの規格サイズのネジ穴が掘られているので、モニターアームなどのアクセサリーの装着に便利だ。これらの穴は軽量化にも貢献していると思われる。
 ベースプレートの底部にもネジ穴は複数あり、組むシステムに合わせてバランスを取りやすい位置に、三脚のプレートを取り付けることができる。

 加えて、カメラ本体からバッテリーとSDメモリーカードを出し入れする際にカメラの蓋と干渉しないよう、大きな空間が空けられている。側面の各種コネクター接続部分も同様である。

 マウントアダプターをがっちり固定するためのレンズマウントサポートも活用したい。このBlackmagic Pocket Cinema Cameraに限らず、マイクロフォーサーズマウントは比較的がたつきが多く、強度も充分ではない。大型のレンズを装着することが想定されるマウントアダプターには、サポート用の台座が備わっている。レンズマウントを守るためにも、このレンズマウントサポートで、しっかり固定をするべきだろう。

ホールド感が格段に向上、用途に応じでカスタムも容易

 ケージをカメラに取り付けるだけでも、手になじんで持ちやすくなる。木製の大型グリップによって、ホールド感は格段に向上した。軽装備の撮影では、このケージにトップハンドルがあれば事足りそうである。

 ハンドルは左右の位置調整で微妙なバランスを取ることができる。また、ハンドルはカメラ後方に長い向きがデフォルトだが、前方に向いたほうがバランスが良い場合もある。
 そうしたい場合は、六角レンチでハンドル部分を外して向きを変えられる。用途に応じて、使いやすい向きにカスタマイズすれば良い。ケージとハンドルだけの組み方の場合などは、ハンドルは前方向きのほうが、バランスは良かった。

 ケージの底部にも1/4インチのネジ穴があるので、ベースプレートを介さなくても 三脚のプレートを取り付けることができる。

 ベースプレートに載せる際は、ライザーブロックの溝にストッパーとなるピンがあるので、スライドさせるようにカメラを横から取り付け、ピンによって止まる位置で固定する。ここにレンズの光軸がセンターにくるように設計されている。

 オプションでロッドやフォローフォーカスも用意されている。もちろん、世界共通の規格でつくられているので、他メーカーのレンズアクセサリー製品を取り付けることも可能である。今回は筆者所有のVocas製マットボックスを取り付けてみた。

 さらにモニターや外部バッテリーなど、用途に合わせた、さまざまなアクセサリーを加えることもできる。今回は外部モニターをアームで取り付けてみたが、モニターの視認性を考え、トップハンドルは前方向きにセッティングしてみた。もちろん、これがベストであると一概に言えることではない。
 基本的なことだが、側面のネジ穴にアームなどのアクセサリーを取り付ける場合は、ネジが重力で緩む方向に取り付けないように、注意しなければならない。

 今回試用したMovcamの製品は、そのどれもが使用する側の立場になって設計されていて、堅牢で工作精度も申し分ない魅力的な製品である。オプション装備だけではなく、今回のキットはそれぞれバラで購入することも可能で、アジアの新興メーカーらしく、価格が手頃であることも嬉しい。

 木製のグリップは手になじんでデザインも良く、カメラを一度ケージに組み込んだら、もう取り外す必要は感じない。オプションのフォローフォーカスも適度な粘りで滑らかに駆動し、ロッドも含め、がたつきなどはない。ベースプレートに組み込んでフル装備で使うも良し、ケージとハンドルのみで軽装備で使うも良しで、使い勝手は最高だった。

価格:BMPCCアクセサリーキット;¥5万7000(税別)
   ハンドル単品;¥1万500(税別)
   BMPCCケージ単品;¥1万8500(税別)
   ライザーブロック単品;¥1万1500(税別)
   レンズマウントサポート単品;¥4300(税別)
   LWSベースプレート単品;¥2万2000(税別)
   [オプション]8インチ15mmロッド(2本セット);¥5600(税別)
   [オプション]フォローフォーカスMF-2;¥8万5000(税別)
発売:2014年3月12日
問い合わせ先:ケンコープロフェショナルイメージング TEL 03-5988-7358
URL:http://www.kenko-pi.co.jp/


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