Aputure アマランLEDライトAL-H160〜軽く・明るく・広範囲なローコスト照明


 Aputure(アプチャー)の新製品として、「アマランLEDライトAL-H160」が、ケンコープロフェショナルイメージングより、2014年5月16日にリリースされた。

 昨今、われわれが携わる現場は予算の問題などにより、小型カメラロケ通称「デジロケ」によるカメラマンのみ、もしくは2名体制(カメラマン、音声)でのロケが多くなっている。そのため、このようなLEDライトが現場において不可欠となってしまっているのは、周知の事実であろう。

 そこで今回、この新製品を筆者が実際に試用・検証してみた。

AL-H160の製品概要

  当製品のパッケージ内容は以下の通りである。

  • 本体(AL-H160)
  • ランプブラケット(スライドシュータイプ)
  • ライト連結用アタッチメント兼1/4ネジ穴スライドシュー
  • タングステン光変換フィルター
  • ディフューザー

 製品の特徴として、

  • 16:9のワイドスクリーンデザイン
  • 多種類なバッテリーの選択肢(ソニー製NP-Fシリーズ、NP-FMシリーズ、単三電池×6)
  • 最大9個まで灯体を連結できる拡張性 

などが挙げられる(写真1)。

 LEDは縦列10個、横列16個の合計160個がセットされた非常に高輝度でパワフルなライトであるにも関わらず、本体のみで325gと軽量でコンパクトなボディを実現しており、重量感を感じさせなかった。バッテリーは汎用のNP-Fシリーズ、NP-FMシリーズを使用する場合は本体裏側のプレートにワンタッチで簡単に装着でき、単三電池を使用の場合は電池6本を裏側のプレートを開けて装着する。使用環境に応じて2WAYでフレキシブルに選択できるのがありがたい。消費電力は13W(ハロゲン球換算で80W相当)と少なく、1日ロケはバッテリー残量の心配から解消されることになる。

AL-H160を実際に試用してみて

 まずは使用するカメラに本製品付属のランプブラケットを装着し、AL-H160を装着する(写真2)。ランプブラケットの2つの固定ネジにより、さまざまな角度に調整できるのだが、いずれも上下の角度を調整するネジになっている。なぜ2つネジ構成になっているかというと写真3のように下ネジを本体と垂直に構成することによってシューの位置よりもAL-H160本体を数センチ前に出すことができる。これにより、ワイコンのフードやカメラマイクなどのライトの影を出さないなどの工夫ができるうえ、少しでも被写体にライトを近づけることができる。また、後述する写真6のようにいずれのネジもまっすぐ伸ばすと高さを確保することが可能となりライトの位置を微調整できるのが本製品の魅力ともなっている。

 付属のランプブラケットはスライドシュータイプの留め具のみの同梱となるため、今回はスライドシューに対応したソニーHVR-Z5JにAL-H160をつけて検証してみた。HVR-Z5Jに限らず、肩乗せカメラと比較して手首に負担がかかる小型カメラは、時にワイコン、LEDライトをプラスし、どんどん前方向が重くなり、バランスが崩れていくストレスを読者の方々も感じたことがあるはずである。

 しかし、AL-H160にソニー製大容量バッテリーNP-F970を装着してオペレーション状態にしたとしても、バランスもあまり崩れることがないうえ、重量感を感じさせなかった。また前述したように、2つのネジの下ネジを本体と垂直に構成した場合、HVR-Z5JではシューにAL-H160を取り付けた際、レンズ前面よりもライト面の方が少しだけ前にくることになった(写真4

 また圧倒的な光量を提供してくれるので実践でもイケる! と直感した。今回、光源が蛍光灯の漏れ程度の暗い場所でAL-H160を点灯してみたが、絞りを2絞り程度稼ぐことができた(写真5〜6)。

 また、LEDライトの強みである低消費電力、長持続をAL-H160も、もちろん最大限発揮してくれる。今回使用したバッテリーのソニー製バッテリーNP-F970は、MAXの光量で3時間以上継続発光し、なおかつ光量が落ちることも無く使用できた。長時間におよぶ撮影、長回し時でもバッテリーの心配はほぼしなくてすむだろう。

 そして、今回特に筆者が強く魅力に感じたことは、前述にもあるように、16:9ワイドスクリーンデザインということである。この手のLEDライトにありがちな、コンパクトなデザインを重要視するがゆえの、照射範囲の減少問題。しかし、AL-H160において、そのストレスは感じなくなるであろう。写真8にあるように本製品点灯時に画面の4隅でも暗くならず非常に優れている照射性能といえる。ここまでの広範囲を光量も減少せず、中心部分が極端に明るく飛び過ぎといったムラも無く、しっかり照らしてくれるのは本当に心強い(写真7〜8)。

 次に色温度について触れたい。AL-H160の色温度は素通しでスペック上5500Kとなっており、HVR-Z5Jでは、ほぼ一緒の5400Kが取れた。製品説明欄では、ノーマルで色温度5500Kを謳っているが、数値的にほぼ変わらない色温度であった。付属のタングステン光変換フィルターはHVR-Z5Jの実測で5500Kを3600Kに色温度を落とすことができた(写真9)。光変換フィルターのほかに光を拡散させるディフューザーが付いており、いずれの装着もワンタッチで簡単に着脱可能である。光変換フィルターとディフューザーの同時装着は現実的には厳しかったものの光変換フィルターにはディフューザー機能が組み込まれており、同時に装着するといった機会はなさそうである。

 さらに、ランプブラケットというスライドシュー以外も、付属のライト連結用アタッチメント兼1/4ネジ穴スライドシュー(写真10)を使用することで、HDCAMカメラや1/4インチのライトスタンドなどにも装着することができる。ただここで注意していただきたいのが、本体との固定用ネジなどが付属していないため、本当にただ取り付けただけの状態である。そのため、なにか突発的な衝撃などで、本体とスライドシューが分離してしまうリスクを伴う。よって、この件に関しては、別途市販されている固定用ネジがついたスライドシューを使用することをお勧めする。この問題が今後改善されるのを願うばかりである。

 最後に、AL-H160の応用編ともいえる、ちょっと変わり種の面白い機能を紹介したい。前述通り、AL-H160は最大9個まで灯体を連結できるという、拡張機能まで搭載しているのである。筆者自身、このような機能は初見のため、非常に面白い機能で驚きを隠せなかった。前述の写真10で確認できるように、AL-H160には上下左右に4箇所の連結スロットが装備されている。付属のライト連結用アタッチメント兼1/4ネジ穴スライドシューを使用することで、最大3×3、9個の連結が可能になるのである。(写真11

 この拡張機能により、より大きな照射面積が確保され、よりパワフルなライトソースとして使用する事ができるのである。前述のように16:9のワイドスクリーンデザインではあるが、コンパクトさも兼ね備え、軽量設計でもあるので、連結のためにいくつも持ち歩いてもさして気にはならないだろう。特に、海外や長期出張の撮影時に、重宝されると感じる。

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 今回実際に、「アマランLEDライトAL-H160」を使用し感じたことは、とにかく軽い、明るい、広範囲ということである。特に難しい操作もないので、プロ、アマ問わず、いろいろな方に使用していただけるだろう。基本的にはスライドシューに対応しているカメラでの使用をお勧めする。最後に、価格についてだが、ここまでの高機能を搭載しているのにも関わらず、下記の値段である。1つ購入を検討してみてはいかがだろうか。 

  • 発売:2014年5月16日
  • 価格:¥9500(税別)
  • 問い合わせ先:ケンコープロフェショナルイメージング TEL 03-5988-7358
  • URLhttp://www.kenko-pi.co.jp/

About 佐々木勇人

株式会社イルージョン 技術部所属

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