パナソニックHX-A100〜カメラ部が分離した二体型のウェアラブル
本稿は2013年04月23日発売の月刊ビデオα(2013年05月号)に掲載した記事を再編集したものです。内容に掲載当時の情報が含まれていますので、あらかじめ御了承ください。
パナソニックのHX-A100はレンズとレコーダーが一体化している多くの他社製ウェアラブルカメラと違い、カメラとレコーダーが分離した二体型のタイプで、ハンズフリー撮影を簡単に行えうことができる(写真1)。またWiFiを内蔵し、USTREAMへのライブ配信やFacebookなどのSNSに動画や静止画を簡単にアップロードでき、カメラ映像を簡単にシェアすることも可能だ。
カメラ部の軽量化とレコーダー部の操作性
HX-A100は、カメラとレコーダーが約70cmのケーブルでつながっており、カメラコントロールはレコーダーで行うこととなる。ケーブルは取り外しができず、カメラとレコーダーの切り離しはできない。ケーブルは断線しにくいように太く設計されており耐久性も高くみえる。
カメラ部は幅26×高さ26.5×奥行66mmと非常に小さく、質量も30gと非常に軽い。この30gという軽さがHX-A100の特徴で、これまでのウェアラブルカメラの中でも突出してカメラ部が軽い。この軽さにより、手軽に頭などに違和感なく取り付けることができるのだ。
カメラ部は同梱するイヤーフックにそのまま固定することができ、撮影者の左側頭部にカメラがセットできるようになる(写真2、3)。イヤーフックに取り付けても重さを強く感じることもなく、気軽に撮影者目線の映像を収録可能だ。
このイヤーフックは撮影者の頭の大きさに合わせられるようにアジャスターも2つ付属し、頭にフィットして撮影を行えるため女性でも簡単に使用できる。強度も調整されており、耳や頭に窮屈さを感じず負担は少ない。個人差はあるかもしれないが長時間の撮影にも問題はないだろう。
またイヤーフックとカメラの取り付け部は好きな方向に調整できるので、カメラの方向を好みに向けられるのもありがたい。
ただし、HX-A100はイヤーフックに取り付けることを前提としてつくられているため、GoProなどに付属するようなハウジングなどはない。もちろん、防水設計なので撮影中の急な雨などでも撮影は継続可能だ。レコーダー部も水深1.5mまでの防水と防塵機能も持ち合わせており、雪上や水辺のアウトドアスポーツでも問題なく使用できる。
そのレコーダー部は幅59.5×高さ94×奥行25mmと手の平サイズで、さらに厚みもなく、スマートフォンほどの大きさである(写真4)。カメラの電源や、RECのON/OFF、スチルのシャッターボタン、ロックボタン、そしてWiFiのモード変更ボタンが用意されており、基本的な操作ボタンはこれだけで非常にシンプルなインターフェースだ。GoProなどのように同じボタンを何度も押してメニューを選択する必要もないため、使い勝手はとてもいい。
またレコーダー部は同梱されているアームバンドケースに収納できるようになっている(写真5)。
バッテリーはリチウムイオン充電式電池で本体に内蔵されており、レコーダー側部のカバー内部に設置されたmicroUSB端子による充電式だ(写真6)。
連続撮影可能時間は撮影モードにより異なり、最短で約110分、最長で約160分と多くのスポーツの試合時間ほどはカバーすることができる。フル充電には270分と少々時間はかかる。PCのUSB端子で充電する際はPC側の省電力モードを解除するといいだろう(PC側がスタンバイ状態などの省電力モードの場合、充電されないことがあるため)。
本体USB端子の横には記録メディアスロットルが用意されており、microSD/microSDHCカードに対応している。最近のウェアラブルカメラは軽量化・小型化がさらに進んでいるためmicroSDカードの採用が増えている。microSDカードは容量が大きく転送速度の速いモデルでも安価で購入できるため、32GバイトでCLASS10のものが使い勝手がいいだろう。
多彩なカメラモード
イメージセンサーは1/4.1型裏面照射型MOSを採用し、高画質なフルHDがMPEG4(.MP4)で収録される。さらに高速・高性能エンジンを搭載したことにより、ノイズ低減やHDモードで最大60fpsのスローモーション撮影、さらには傾き補正などに対応し、安定した撮影を行うことができる。
記録モードは1920×1080の60p/30p、1280×720の60p/30pなどに対応。ハイスピードモードは1920×1080pの60fps、1280×720pの120fps、そして848×480の240fpsを選択できる。転送レート(VBR)は1920×1080/60pで最大28Mbps、1920×1080/30pで平均15Mbps、ハイスピードでは最大15Mbpsとなっている。
撮影画角は2種類用意されており、160°のワイドモードと117°のスタンダードモードがある(写真7、8)。F2.5の明るいレンズを搭載しており、曇りや雨など、照度が低い撮影状況下でも明るく撮影をすることが可能だ。
晴天の状況で1920×1080pの60fpsでハイスピード撮影を行ったが、ノーマルスピードと比較するとしても大きな差はなく、遜色ない明るくノイズもない画を撮影することができた。
また、カメラの傾きを検知して水平を補正する「傾き補正」が内蔵されているため、ステディカムまでとはいわないものの安定した画を収録することができた。細かな揺れを抑制する「ブレ補正」もあり、悪路などを走行した際の細かいブレも少ない見応えのある画を撮影できる(画角モードがワイドの場合、傾き/ブレ補正ともにOFFになるので注意が必要)。
スマートフォンを使用した「共有」
記録モードやブレ補正のON/OFFなど、カメラ機能のコントロールはレコーダーのみでは行えず、スマートフォンに対応したパナソニック純正アプリ「Image App」とレコーダーを同期させてコントロールをすることになる(写真9)。撮影しながらライブビュー画面でモニタリングできるだけでなく、スマートフォンにイヤホンを付ければ音声のモニタリングも可能で、安定した撮影を行える。
撮影メニュー設定には、記録モードの他にローカットやセルフタイマー、画角モード、傾き/ブレ補正、逆光補正、カラーナイトビュー、そしてホワイトバランス設定が用意されている。ホワイトバランス設定は、オートのほかに、晴れや曇り、マニュアルなど計7種類があり、任意の色を選択できるのはうれしい。
また、再生機能も搭載されている。早送りはないが、再生バーをタップすることで、任意の場所から再生を行えるため、長回しした際も確認したい場所をすぐに選択できることはありがたい。
撮影した動画や静止画はSNSなどへ簡単にアップロードできるが、そのためにはパナソニックの動画・写真共有サイト「LUMIX CLUB(PicMate)」への無料登録が必要となる。登録はスマートフォンでも簡単にでき、数分で完了するのでHX-A100を使用する場合は登録するといいだろう。
microSDカードに収録された映像は「PicMate」を使用すれば、ドラッグ1つでスマートフォンにデータをコピーでき、撮影直後にスマホで映像を見ることができた。これはスタッフと動画を共有を簡単に行えたため便利な機能だと感じた。
また保存先をFacebookにしておけば、同じように撮影したデータを簡単にアップロードできるなど、撮影素材を「シェア」することを強く意識した仕様となっている。さらに、スマホを経由したUstreamへのライブ配信も可能で、スポーツなどの素材をそのままリアルタイムにシェアできるようになっている(60pを含めたハイスピードモードではライブ配信はできないため、注意が必要である)。
HX-A100は、とにかく気軽に撮影できるカメラだと感じた。ハウジングがないため、水中深くや車などの取り付けは難しいが、エクストリームスポーツだけではなく、ジョギングや自転車、または日常の風景などの撮影にも適している。「シェア」することもストレスなくできるため、SNSやライブストリーミングにもウェアラブルカメラを導入しやすくなるだろう。
価格:オープン(実勢価格¥2万前後)
発売:2013年5月1日
問い合わせ先:パナソニック お客様ご相談センターTEL0120-878-365
URL:http://panasonic.jp/dmvc/