オタク 手塚一佳の自腹レポート〜EOS-1D Cを小規模撮影で使いこなす・第3回
撮影編 その1
キヤノンCINEMA EOS SYSTEM EOS-1D C(以下EOS-1D C)の撮影では、2つの点に注意が必要だ。1つが、Canon Logという少し変わった対数ガンマを持っていること、そしてもう1つがフォーカスが難しく、後処理のデータ量が多い4Kであるということだ。当然、撮影方法も、従来のビデオとは異なり、少々変わったやり方になる。今回はその辺を重点的に追いかけてみたい。
まずは設定をしてみよう
なにはともあれ、まずはメニュー設定から。
基本的な注意点として、EOS-1D Cでは、設定ミスや警告を液晶表示の点滅で知らせてくれる。設定できたと思っていても、液晶表示で見てなにかしらの点滅があれば、設定に過ちがあるかなにかの警告なので設定を見直してほしい。発売当初、海外有名レビュー動画の多くでレビュー中のCanon Logの文字が点滅していたのは、いまでは笑い話だが、これも、点滅=警告表示という知識が無いと気づかないものだ(エラー以外の警告では、収録ファイルの分割警告時にもこの点滅が見られる)。
まずは、「MENU」ボタンを押して、右上のダイヤルを操作して、左から4番目「SHOOT4」メニューに「LV 設定」に「動画」モードがある。これを「静止画」から「動画」に切り替えよう。すると、メニューが動画向けに切り替わる。
そしてその下の「SHOOT4」の中の「動画記録サイズ」を「4K 24 MJPG」にする。そうすると、4096×2160 23.98fps Motion Jpegモードに切り替わるはずだ。
次に「MENU」の一番左リスト「SHOOT1」から「レンズ光学補正」の「周辺光量補正」を「しない」に切り替える。
レンズ光学補正は、レンズの癖を吸収してくれる便利な機能だが、レンズ光学補正の周辺光量補正が入っていると、Canon Logが正常に動作しない。そのため、まずこの機能を切る必要がある。色収差補正は使えるので、これはそのまま「する」で残しておいて構わない。
この「SHOOT1」メニューリストではホワイトバランスも特殊な設定が必要なのだが、ちょっとややこしいので後に回そう。
そして「SHOOT3」メニューから「電子音」を「切」に。
これは単純に動画撮影時に電子音を入れないための工夫だ。これを忘れると操作の度に映像に電子音が入る羽目になるので忘れないように。
最後に「SHOOT5」メニューから「Canon Log設定」を開き「Canon Log」を「入」にする。この際「ビューアシスト」を「入」にしておくと、バックモニター表示がLogのフラットな表示では無くRec.709相当のLUTが当たった状態でのビデオガンマ表示になるので、仕上がりの絵が想像できていいだろう。
右上のダイヤルでシャッター速度を24p定番の「50」に設定し、液晶横のダイヤルでISOを320に設定する(このカメラの標準ISOはCanon Log撮影時でISO=320なので、ここから始めるのが基本だが、なぜか電源を入れ直すとISO400になる)。
最後にファインダー右横のカメラ液晶マークのボタンを押せば、液晶バックモニター表示に切り替わる。これで、4K撮影の準備ができたことになる。
「ビューアシスト」が効いている間はLog状態での色飛びがわからないので「INFO」ボタンを数回押して、右上に露光「ヒストグラム」の簡易波形が出る状態にすると良い。詳細はできればHDMIからのモニタ波形で見たいところだが残念ながらHDMIからはLog映像は出ない。しかし、この本体波形でもだいたい飛んでるか潰れているかは判断がつくので大丈夫だ。
逆に、前回推奨した「Cineroid Retina EVF」などの外付けのEVFなどを使う場合には「ビューアシスト」を「切」にしておけば、4K撮影時には本体でLog画面、EVFでRec.709LUT適用後のビデオガンマ画面が見られるので、これもお勧めだ。なお、4K以外の撮影時にはHDMI出力もLogが本体液晶に連動してしまうのでこのやり方は使えない。
設定の最後になるが、自作メニューに動画、静止画の切り替えは移動しておこう。とにかく頻繁に使う機能だ。☆印の「MY MENU」に移動して「MY MENUの設定」「マイメニューへの登録」から、「LV 設定」と「動画記録サイズ」と「動画撮影ボタン」と「Canon Log」を登録しておくと楽だ。
なお、一度動画モードにすると、設定がMモードになっているほか、ISOも固定モードに強制的に変わっている。動画撮影後に写真で使う場合にはそれぞれの設定を戻すのを忘れないように。
[次回 撮影編 その2へ続く] アイキャッチ モデル:すずき えり