オタク 手塚 一佳の2014 NAB Show速報 ・第2回
2014年4月14日追加修正
ハイエンドとローバジェットの両方の商業4Kを押さえたパナソニック
パナソニックブースでは、2014 NAB Show直前に発表した4K撮影可能な一眼ミラーレスカメラ「LUMIX DMC-GH4」と、その業務用出力キット「AG-YAGHG」に加え、ハイエンド スーパー35mm PLマウント4Kシネマカメラ「VARICAM 35」およびそのハイスピードカメラ版に当たるB4マウントの2Kカメラ「VARICAM HS」を正式に出展していた。
この新しいVARICAMシリーズはモジュール式となっており、VARICAM35とHSの両方のレコーダー部分(AU-VREC1G)は共用のものを使っている。このレコーダーには、V-Logで対数補正のかかったAVC-ULTRA収録が可能なほか、業界標準のApple ProRes収録もProRes4444、ProRes422HQなどで可能となっている。また、本体内の4K収録のほか、ダブル収録で2KやProxy映像の収録も同時に可能となっており、極めて効率的に映像制作を進めることができるようになっている。
こうして同時収録した画素数の少ない映像を使うことによって、カメラ本体内でのカラーグレーディング機能を実現したのも同カメラの特徴の1つだ。これにより、カメラにPCを接続するだけでオンセットグレーディングを行うことができ、各カットごとにLUTを作成し、それをデイリーレポートとして収録データに添付することが可能となった。この機能によって、グレーディングに必要な高速モバイルストレージの現場への持ち込みや、オンセットグレーディング環境の構築が不要となり、大幅なコストダウンが見込める。
また、レコーダーユニットの後にはサードパーティのユニットも追加できるのが特徴だ。今回の発表ではCODEXとの提携が発表され、同社製Raw収録ユニット「Panasonic V-RAW Recorder」のモックアップの発表も行われた。同ユニットを使うことによって、毎秒120コマの4K 非圧縮RAWでは世界最速の速度での撮影が可能となる。
また、同社ブースでは、新しいLUT対応の業務モニタ「BT-4LH310」なども展示発表。その高精細と表現力の高さに多くの来場者の注目を集めていた。
今回のパナソニックの展示発表は、一眼ミラーレススタイルで100Mbpsのローバジェット4Kの「DMC-GH4」からハイエンドの「VARICAM 35」まで、同社による全領域への4K対応を強力に見せつけるものであった。
このあたりの詳細は、また追ってご紹介したい。
CODEXブースでは、パナソニックVARICAM35などへの対応を発表!
CODEXのブースでは、パナソニックブースに展示発表されていた新型ハイエンドシネマカメラ「VARICAM35」に装着可能なRAWレコードユニット「Codex Panasonic V-RAW RECORDER」をモックアップ発表していた。同社はさまざまなカメラの収録に協力してきたが、こうした、開発段階からの全面協力と一体型のユニットでの発売というのは大変に珍しい。
映画産業に定評あるCODEXの技術によって、このV-RAWレコーダーユニットでは、非圧縮RAW撮影ながら毎秒120pという高速度での撮影を可能としている。
また、同社ブースではさまざまな撮影方法に対応した立体視アクションカメラ「Codex Action CAM」や、4K対応の映像バックボーンシステム「Codex Vault」を展示発表していた。
アストロデザイン ブースは8K一直線
アストロデザインのブースでは、日本の総務省が推進する8K放送に備えた8K映像機材の展示発表を行っていた。
8Kカメラヘッドの実働モデルを持ち込み、それを実際に来場者が触れる形で実機展示していた。また、8K周りの実用展示も行っており、なかでも、8Kからの切り出しによる疑似カメラワークや疑似スイッチングの実験展示は、大いに注目を集めていた。
日本では、政府の旗振りで否応なしに8K放送へと話が進んでしまっている。アストロデザインは4Kよりも8Kに注力することで、その期待に答えようとしているように見える。特に、こうした切り出しシステムの提案は、世界的な流れになりつつある4Kの動きにも対応可能なものであり、政府方針を支持しつつも、極めて現実的な対応といえるであろう。
東京オリンピックに向け、着実に開発が進んでいることを感じさせるブース展示であった。
Grass Valleyブースではロゴの変更を発表!
Grass Valleyブースでは、Beldenによる同社買収に伴い、ロゴの変更を発表していた。また、同社編集ソフトEDIUSではいち早く4K対応を行ったこともあり、各社4Kカメラとの連携が発表されていた。
Autodsk、Flame Premium 2015を発表
Autodsk ブースでは、同社製ハイエンドVFXツール「Flame」の最新版「Flame 2015」の新しいバージョン展開を発表していた。
旧来のSmoke Advancedユーザーは「Flame 2015」に移行し、従来のFlameユーザー向けにはその上位バージョンとして「Lustre」が同梱された「Flame Premium」を展開。さらに「Flame Premium」ユーザーには、Mac環境で稼働する簡易合成編集ツール「Flame Assist」を付属するという。この「Flame Assist」が従来の「Smoke for Mac」的な下準備ソフトの立ち位置となり、Flame作業前の準備作業はこの「Flame Assist」で行うことも可能になる。
そのほかに、同社ブースでは3D CGソフトの最新版「Autodesk MAYA 2015」と「Autodesk 3ds MAX 2015」の展示発表も行っていた。
※本項目には記事後に記す修正が施されています(編集部)
ATOMOSブースは、将軍登場!
事前に入場しているプレス関係者やカンファレンス関係者の間では、NAB Show会場の入り口に掲げられたATOMOSによる謎の広告にみんなで首をひねっていた。それは「The GUN of the show. A new class of warrior.」という、黄色い鎧を着た武将のイラスト付きの広告だ。
この武将の正体が4K(QFHD)収録可能な同社製新型SSD/HDDレコーダーモニタ「SHOGUN」だ。忍者から始まり、忍者2世、そしていったん浪人となった同社製品も、ついには将軍まで登場したことになる。
この「SHOGUN」はソニーの新型一眼ミラーレスカメラ「α7S」と同時開発していたらしく、ソニーブースでの説明でも明らかにこの「SHOGUN」と見られるレコーダーのイラスト付きで説明されていた。「α7S」などが出力するLog付きの映像信号を読み込んでProRes4K(3840)、もしくはCinemDNG形式の連番RAWで収録することができる。もちろん「α7S」だけでなく、HDMI、もしくはHD-SDIから4K出力できるカメラであれば、ほとんどこの「SHOGUN」を付けることができる(今回のNAB Showであちこちに登場した12G-SDIという4K送信SDI規格にも対応している)。
XLRのバランスオーディオにも対応したほか、Log収録に対応するために3D-LUTも実装。さらに、アダプタを付けることでCFastコンパクトフラッシュもストレージにすることができる、と、まさに「将軍」の名にふさわしいレコーダーモニターとなっている。
同社ブースでは、ほかにも、Ninja2からモニターを削除し、CFastに対応させることで小型化をしたHD収録機「Ninja Star」や、HD-SDIに対応したHDレコーダモニターの「SAMURAI BLADE」の新規発表も行っていた。
当初の奇抜な新参メーカーの印象はすでに払拭され、ATOMOSも次第に主要メーカーの一角をなしつつあるように見える。そうした同社が満を持して開発したのがこの「SHOGUN」だ。なお「SHOGUN」は、秋頃に発売予定だという。
[第3回につづく]
※2014年4月14日、Autodeskブースの項目内以下の修正を行いました(編集部)
- 『旧来のSmoke Premiumユーザーは』を『旧来のSmoke Advancedユーザーは』へ変更
- 『その上位バージョンとして「Flame」のほかに「Flame Premium」を展開』を『その上位バージョンとして「Lustre」が同梱された「Flame Premium」を展開。』へ変更
- 『さらに「Flame Premium」ユーザーには、軽量でさまざなPC・Mac環境で稼働する簡易編集ツール「Flame Assist」を付属するという。』を『さらに「Flame Premium」ユーザーには、Mac環境で稼働する簡易合成編集ツール「Flame Assist」を付属するという。』へ変更
- 『Flame作業前の準備作業はこの「Flame Assist」で行うことになる。』から『Flame作業前の準備作業はこの「Flame Assist」で行うことも可能になる。』へ変更
※本稿は、速報という観点から、即時性を重視して情報をお届けしております。その性質上、後日、記述内容に修正が入る可能性がありますこと、あらかじめご承知おきいただけますと幸いです(編集部)