The 2nd After NAB Show Tokyo2014取材レポート
去る5月22〜23日の2日間、東京・秋葉原のUDXにおいて、The 2nd After NAB Show Tokyo 2014が開催された。同展示会は、4月7〜10日に米国・ラスベガスで行われたNAB Showの主催団体NAB(National Association of Broadcasters)の公認イベントとして、昨年初めて開催されたもので、今回は2回目の開催となる。
- 会場が広くなったにも関わらず、その混雑ぶりは昨年同様で、同展示会の注目の高さがうかがえる
第1回開催となる昨年は、会場からあふれ出さんばかりの来場者を迎え、盛況のうちに幕を閉じた。今回はその反響を受け、会場も東京・秋葉原のUDX2階のAKIBA_SQUAREと昨年よりも広いスペースで開催されたが、初日の午前中など、会場が広くなったにも関わらず、その混雑ぶりは昨年同様で、改めて同展示会の注目の高さがうかがえた。また、併せて行われた各種セミナーも、新製品の情報や各社の最新動向をつかむ場として、こちらも大いに賑わっていた。
- 4階のUDX THEATERでは各種セミナーも行われ、こちらも盛況を博していた。写真はAdobeのアル・ムーニー氏によるPremiere Pro CC時期バージョンに搭載される新機能の解説風景
それでは、以下に主な出展製品を、写真を中心にお届けする。
■朋栄
- 朋栄ブースでは、本体・コントロールパネル一体型のコンパクトスイッチャーHVS-XT110と、4K素材に対応したLTOサーバーLTS-60および素材管理オプションLTS-MAMの参考展示が行われていた。併せて、AdobeブースにおいてPremiere Proのタイムラインから映像ファイルを抽出し、フレームレート変換後MXFフォーマットで出力するファイルベースビデオフォーマットコンバーターFRC PREMIERE Pro EXPORT PLUG-INが出展されていた
- コンパクトながらHD/SD12入力9出力に対応した1M/EビデオスイッチャーHVS-XT110“HANABI”。Webサーバーの内蔵によりネットワーク経由でPCなどからのコントロールが可能で、会場でもタブレット端末を使用したデモ展示が行われていた
- Adobeブースに展示されていたファイルベースビデオフォーマットコンバーターFRC PREMIERE Pro EXPORT PLUG-IN。実績ある同社のフレームレートコンバーターFRCシリーズのアルゴリズムと同様のものが搭載されているため、高いクォリティのフレームレート変換が可能となっている。昨年の各種展示会で参考出展されていたが、ついに5月末ごろにリリースされることとなる
- 同フォーマットコンバーターは、Windows版のPremiere Proプラグインという形で提供され、価格は¥30万前後とのこと。この価格でFRCシリーズと同様のクォリティの変換が行えるというのだから驚きだが、ハードウェアベースのFRCシリーズがリアルタイム処理のところ、同プラグインでは、現状実時間の8倍(使用するマシーンのスペックによって変動あり)ほどの処理時間が掛かるとのこと(価格差を考えれば当然ではある)。同社としても、同製品を新たな顧客層を拡げるための製品として位置付け、従来とは異なるユーザー層にも積極的にアプローチしていくとのことであった
■ローランド
- ローランドブースでは、マルチフォーマットコンバーターVR-50HDを初め、デジタル・スネークシステムのステージユニットS-2416、ライブミクシングコンソールM-200iが出展されていたほか、各種アップデートが図られたビデオコンバーターVC-1シリーズも展示されていた
- ビデオコンバーター(FS delay)VC-1-DL。今回のアップデートにより、フリーラン/フリーズ機能が新たに搭載された。これは、入力信号がトラブルで途絶えたとき、その直前の映像が静止した状態で流れ続ける機能で、信号回復した瞬間からショックレスでスムーズに映像を流すことが可能となっている。なお、この機能は放送局などからの強い要望に応じて実現されたもので、各現場から好評を得ているとのこと
■キヤノン
- 会場中央に広いスペースを取って出展したキヤノンブース。EOS C500と新製品のCINE-SERVOレンズCN7×17 KAS Sを組み合わせ、業務用30型4KディスプレーDP-V3010にその映像を流すデモは、多くの来場者の関心を集めていた
- 発売間近の業務用デジタルビデオカメラXF205とリモートコントローラーRC-V100が出展されており、両製品の操作感を体験することができた。RC-V100は、さまざまな映像制作現場からの要望に応えるために開発されたもので、露出やホワイトバランスの設定・調整など、カメラ本体に搭載されている主要な機能を離れた場所からコントロールすることができる
- EOS C500に取り付けられたCINE-SERVOレンズCN7×17 KAS S/P1(PLマウントモデル)。4K対応の高い光学性能を実現した7倍ズームレンズ。ドライブユニットの搭載により、放送用レンズ同様の操作性を実現していることが大きな特徴
■ATOMOS
- ATOMOSブースでは、2014 NAB Showでも話題となった4K対応のモニター一体型レコーダーSHOGUNのモックアップ展示を初め、発売間近となったポケットサイズのレコーダーNINJA STARや、すでにリリースが開始され話題となっているNINJA BLADEなどの出展が行われた
- NAB Showで出展されていたものと同じSHOGUNのモックアップモデル。4K収録が可能でApple ProRes/AVID DNxHDフォーマットに対応している。今秋出荷予定とのこと
- ProRes記録に対応したモニター非搭載のポケットサイズレコーダーNINJA STAR。HDMIからメニュー無しの映像を出力できるカメラであれば、いずれも使用することができる。まさに手のひらサイズのコンパクトさで、オペレーション時の質量が約210gと、マルチコプターなどへの搭載にも適している
■Blackmagic Design
- Blackmagic Designブースでは、デジタルフィルムカメラBlackmagic URSAを初め、ライブ中継用カメラBlackmagic Studio Camera、DaVinci Resolve 11、ATEM 2 M/E Production Studio 4Kなど、NABで発表された新製品が目白押しとなっており、来場者も大きな関心を寄せていた
- センサーおよびレンズマウント部がユーザーの用途に応じてアップグレード可能なデジタルフィルムカメラBlackmagic URSA。10インチの大画面開閉式モニターに加え、本体側面両側にそれぞれ5インチのタッチスクリーンが計2基搭載されている。実際に目の前にしてみると10インチモニターの迫力は相当なものであった
- ライブ中継用カメラBlackmagic Studio Camera。ATEM 2 M/E Production Studio 4Kと最新のATEM Software Controlを使用することで、従来高額な投資が必要であったCCU機能を実現できる
- ATEM Software ControlのCCU機能のGUI
■平和精機工業
- 平和精機工業のブースでは、先頃発表されNABでも話題となった、ヘッド、三脚、スライダーをシステムアップした、新しいスタイルの三脚システムALLEXを前面に出した展示となった
- ALLEX H(ヘッド)、ALLEX S(スライダー)、ALLEX T(三脚)がパッケージングされたALLEX S KIT
- 同会場に展示されていたALLEX Sは、NAB Showで展示されていたものに、塗装やレール形状などを中心とした改良を加えられたバージョンとなっており、さらに耐久性が向上したものとなっていた。同社によると発売までにさらなるブラッシュアップを図るそうで、8月の発売時が楽しみである
■アスク
- NAB Showで大きな話題となった4K対応プロダクションカメラCIONを出展したAJAの製品を取り扱うアスクブース。残念ながらCIONの出展はなく、おそらく訪れた来場者の全員が同じ質問をしていたとみえ、ブースを訪れた早々に担当者に「申し訳ありませんがCIONはまだです」と告げられたほどであった。それだけ皆の注目が集まっているといえ、お楽しみはもう少し後で…ということだろう
- アスクブースに展示されていたワイヤレスタイムコード同期システムTimecode Buddy。SMPTEタイムコード電送をRF通信によりワイヤレス化する小型ディバイス。写真はRF送受信およびタイムコードジェネレート機能に加え、Wi-Fiアクセス機能が搭載された多機能モデルwifimasterとそのアプリ。メタデータの共有も可能
- アスクは、キヤノンブースの一角で、EOS C500からの4K映像をAJAのTruZOOMとCorvid Ultraを用いたリアルタイム切り出しシステムの展示も行っていた
■Autodesk
- Autodeskブースに出展されていたビジュアルエフェクトシステムFlame Premium 2015。4K/60pのリアルタイム再生/モニタリングが可能になるなど4Kワークフローに対応したほか、3Dシェイプとレプリカの機能が追加され、タイムライン上でのマッチボックス効果が追加できるようになった
- Autodeskブースに出展されていたSmoke 2015。タイムライン内でエフェクトを追加できるようなったほか、3Dトラッキングなどの機能強化が図られている。なお、同製品は5月7日から永久ライセンスが廃止され、レンタルのみの提供となっている
■その他のブース
- Avidブースではモジュラー式デザインを採用下プロミキシング・コントロール・サーフェスS6を前面に押し出した展示を行っていた
- Adobe & Intelブースで参考出展されていた4Kリアルタイム編集PC。会場ではPremiere Pro CC上で4K RAW映像をリアルタイムで処理するデモを行っていた
- RAIDブースで参考出展されていたFREEFLY MOVI用の専用コントローラーMovi Comtroller。従来はラジコン用のコントローラーを使用していたが、専用の筐体となって用意される予定とのこと
- 共信コミュニケーションズブースに展示されていたSGO(スペイン)の4K/8KフィニッシングシステムMISTIKA。HFR ステレオ 3D作品『ホビット 思いがけない冒険』の制作でも全面的に採用されている
- ヴィレッジアイランドブースで展示されていたDekTecのハイエンドマルチスタンダード変調PCI ExpressカードDTA-2115。世界の主要なデジタルテレビ放送/デジタルラジオ放送規格に対応したモジュレーターで、優れたデジタル変調処理によりハイクォリティな信号品質を実現している
- ディストームブースに展示されたNewTek TriCaster460。2Uラックマウント型の筐体で15chの素材のスイッチングや映像効果、収録、配信までを1台で行うことが可能となっている
- エーディテクノブースでは、映像・音声・制御信号を1本のLANケーブルで非圧縮伝送可能なHDMIエクステンダーHD-06HEを出展していた。同製品は、送受信機間を6/5eのLANケーブル1本で接続し、1080/60p 48ビットのHDMI信号を最大60mまで非圧縮で伝送可能なHDMI延長器となっている
- テクノハウスブースで出展されていたconvergent designのODYSSEY 7Q。4K RAWに対応した7.7インチのフィールドレコーディングモニターで、ウェーブフォーム、ゼブラ、ヒストグラム、ベクトルスコープなど各種表示機能も搭載されている
- 三友ブースに展示されていたランサーリンクの超小型低遅延HD無線伝送装置SKYWAVE ソラリスの送信機。使用者免許不要でフルHD映像の無線伝送350m(直線でオープンエリア環境使用時)を実現している